はづにっき

ぐーたらオタクの備忘録的日記

ゴッホの映画を見た感想(わりとネタバレありきの感想)

前回、ゴッホの映画を見たんだよーっていう話を書こうと思ったら、ゴッホについて熱くなりすぎたため肝心の映画の感想何も書かずに終わったので今度はちゃんと映画についての話を書く。

あらすじと、感想なので、なるべくネタバレ的なことは書かないつもりでしたが書いてみれば結末以外はほぼ全編ネタバレみたいな感想になっちゃった…ので、ほんへネタバレ嫌いな人、ストーリーのあらすじすら知りたくない!まっさらな気持ちで見たい!!っていう人は読まずに、まず映画を見ていただきたい…ネタバレ全然オッケー!な人やむしろネタバレ少し見たほうが興味が出るわって人はよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

ゴッホ〜最期の手紙〜

南フランスのアルル、無気力な日々を過ごす青年アルマン・ルーランは郵便配達人の父ジョセフ・ルーランから、ある一通の手紙を託される。

差出人は父の友人で、1年ほど前に自殺したオランダ人画家のフィンセント・ファン・ゴッホが弟テオへ宛てた未投函のものだった。

最初は画家を訝しがり良い印象を持っていなかったアルマンだが、父の頼みで渋々手紙を弟の元へと届けに行く…しかし、訪ねてみればテオもまた、兄ゴッホが死んだ半年後に失意のまま亡くなっていた。

ゴッホをよく知る画材商のタンギー爺さんからテオの死とゴッホの生い立ちを聞いたアルマンは、次第にゴッホの人となりに興味を持ち、その死について疑問を抱く。

そしてゴッホが最期に過ごした地を目指す。弟が亡くなった今、この手紙を渡すに相応しい人物を探し求め、自殺の真相を追う決意をする。

アルマンは親友を思う父のため、孤独な画家の追悼のため、自分自身の心に浮かんだ疑問の答えを見つけ出すため、画家フィンセント・ファン・ゴッホの足取りを、その短い生涯を、辿ってゆく。

 

みたいなのが、全体のあらすじです。

 

日本語吹き替え版で鑑賞したんですけど、主人公(というかストーリーテラーというか物語を引っ張る役割)のアルマン・ルーランの声が大好きな山田孝之で、途中からアルマンが山田孝之に見えてきて(顔が濃いので違和感がない)アルマンの名前なかなか覚えられんし後半はずっと心の中で孝之!って呼んでた。

 

この映画のすごいところは、色々あるんですけど…まずこれアニメーションなんですよ。

 

この作品は、はじめに俳優さんが演技をして、そのフィルムをもとに、各国から選ばれた125名の画家が油彩画をゴッホのようなタッチで(背景とかまでぜーんぶ!)描き、その絵がアニメーションとしてグリグリとうねり、陰影をつけ、どんどん動きまくる。

その油彩画の数、62,450枚。そんだけの枚数が最初から最後まで動く。そんなアニメーション映画。

もうすごい、作画がすごい、作画すごいってこういうこと?違くない?そういう意味じゃなくない??もう神作画って言葉を履き違えてる。作画の暴力ですよこんなもん、変態作画だわ、やばいんよ、だって登場人物から背景まで全てがあの荒々しくも繊細なゴッホのタッチでグニャリグニョリと動くんですよ。

62,450枚とか言われても想像つかない、やばい、やばい以外に言葉がない。125人の画家はほぼ缶詰で毎日ゴッホのタッチを繊細に表現しながらめちゃくちゃ描かされてる、やばい、そのやばい人の中に日本人の画家の方(古賀陽子さんという人です)も一名いる、すごい。

教科書とかで見たことある名画も動いてるんですよ、夜のカフェテラスも糸杉も星月夜も命を与えられたかのように動いてる。正気の沙汰じゃない。

山田孝之ゴッホのタッチで動いて喋ってるんですよ…最初10分は画面のどこ見てればいいかわからなくて目がウロウロしました。酔うかと思った。絶対これ吹き替えで見ないと集中できない。

 

そしてこの映画のポイントは、ゴッホの死について主人公が疑問を持ち、そこからまるで私立探偵のように、生前ゴッホに関わった人たちの証言を手繰り寄せながら「果たして彼は本当に自殺だったのか?」という疑問への答えに迫っていくサスペンス要素のあるストーリー。

あの男は変人だ狂人だと顔をしかめて吐き捨てる人もいれば、彼は孤独だったと目を伏せる人、尋ねる人によりゴッホの人となりは異なる。どの人も何故か核となる物事や本心を隠しているような、自殺と他殺の両方を匂わせる証言は、見ている人(そして主人公のアルマン)を疑心暗鬼に陥らせる構造になっています。

最初はゴッホのことをただの精神異常者だと思っていたアルマンも、次第にゴッホに関心を持ち、生前会ったこともない何も知らなかった一人の画家のさまざまな側面を知っていく…理解者を得られず孤独な彼への、憐れみとも同情ともとれる感情を抱きはじめる姿は、見ている人の感情とシンクロするような構成になっているように感じました。

 

そして、彼の最期を看取ったのは亡くなった弟のテオともう1人、ゴッホの主治医であったガシェ医師。ガシェ医師は何を知っていて何を語るのか?アルマンは、彼と出会い彼と何を語すのか、果たしてゴッホの死の真相は語られるのか…

 

 

私は、この映画を見る前からゴッホについて興味があったので彼の生い立ちや関わりのあった人たちのこともおぼろげ〜〜〜に知っている状態で鑑賞したのですが、それでも知らない!何それ!みたいなのがあったし、逆に

「あっ!この人あの絵の人だ!!」

みたいなのとか

「あっこの場面、あの絵だ!!」

みたいなのがいっぱいあって、凄く楽しかったです。だからゴッホ全然知らん人も、好きで知ってるよ!って人も、多分楽しめると思います。

 

 

でも、ちょろっとゴッホについての予習というか有名な絵を何点かと、ざっくり生い立ちみたいなの知っていればより画面に没入できると思うし、知らなければ知らないで、アルマンと同じ視点でゴッホのことを知っていけると思うので、それも世界観に没入できていいんじゃないかなーって思いました。

 

ラストにエンドロールのとこで歌が流れるんですけど、外国語だから何言ってるのかわからないけど多分ゴッホに向けての歌なんだろうなーって思って、その歌声が鎮魂歌のような凄く凄く優しい声で、なんかめっちゃ泣けました。

思い込みですぐ泣けるタイプなのと、ゴッホに対しての個人的な思い入れのダブルパンチで私にとってはとても泣ける映画でした。

 

とりあえず序盤10分はすごい目がウロウロするのを覚悟して、見やすさや集中しやすさの観点からも初見は日本語吹き替え版をおすすめします。

 

これが公式サイト。

予告だけでも動いてる絵が見れますので、興味があったらぜひに

DVDの発売日、私のお誕生日の翌日!ウホ!買う!

gogh-movie.jp

 

このページにゴッホのお人形があるんですけど、デフォルメフィギュアぽい感じの見た目が可愛いんだけど、これ…これな…耳が取れるんじゃよ…………

マミさんのフィギュアの首が取れるみたいな感じでは?これ……ええんか………複雑な感情を抱いたわ…

 

とにかく私的に、もう一度ゆっくり見てみたいなぁと思える映画でした。

映画そんなに見る方じゃないんだけど、良い映画に出会えました。